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人生のためになる言葉があったりなかったり。
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・paradoxical Ⅰ
・paradoxical Ⅱ(新刊)

をメインに、鰤本も少しだけ持参します。

***

***
「藤くん、ボクの分…」
ランチのお金を払おうとするが、藤は軽く手を振って、受け取ろうとしない。
藤からお札を受け取る、レジの女の子の手が震えているから、視線を逸らして
(後で纏めてってコトかな?)
取り敢えず財布をしまうと、通りへ出る。
「次は「映画館でラヴコメ」だったか…」
どうやら本当に、「常伏デートコース」を実践する気のようで、藤は映画館の方へと歩き出した。

狭い町内で、日曜日の午後に、顔見知りに会わない方がおかしいだろう。
映画館の前で、バッタリと、美作と本好に出会った。
見るからに育ちが良く、知的な雰囲気の本好もそうだが、実は美作も、割合と裕福な家に育ってるので、私服に気を遣っていて、体型はともかく、品の良い格好をしている。
フト、隣の藤を見遣ると、革のライダージャケットにジーンズという、ありふれた姿ではあるのだが、どこか、何かが、違う雰囲気を醸し出している。
(ボクだけ見劣りするかも)
アシタバの家は、父親はサラリーマンで、母親はパートに出ている、極々普通の家庭だ。
少々、躊躇いを感じつつも、声をかけるために、近寄ろうとするアシタバの肩を、藤が急に引き寄せた。
「ふっ?!藤くんっ!!」
「んー?」
「はっ…、離してよ。ヘンに思われるよ…」
見られることに慣れている、藤は気にならないのだろうが、周囲の視線が、アシタバには痛く感じられる。
藤が動けば、人の視線も動く。
その位、人の視線を、藤は引き寄せる。
「バーカ。男同士で、チョッとじゃれてるくらいにしか、思われねぇよ」
いたって、マイペースで、アシタバの主張を無視して、肩を抱いたままで、ズンズンとシネコンの入口へ向かうのを、美作の方で目に留めて、声をかけてきた。
「おっ?!オマエらも検証してンだな?」
何のことかと思いきや
「俺も、美っちゃんが誘ってくれたから、プレデートってカンジかな」
本好が、物凄い笑顔で
(プレデートっていうか、美作くんとデートしてるつもりなんじゃ…)
デート発言をしている。
「検証って…?」
「アレ、常伏デートコースの記事、アシタバくんは読んでないの?」
そう言いながら、いきなり、本好はアシタバの腕を引いた。
「うわっ!」
本好の腕の中に、抱き込まれるような形になったところで、更に藤がアシタバの肩を掴んで、何故だか本好と睨み合っている。
「離しなよ、藤。アシタバくん、嫌がってるじゃないか」
「うっせえよ、オマエが離せ」
(えっ?!ええ~っ?!何、この展開。っていうか、時代劇的に、先に離した方が本当のお母さんとかいうアレ??!)
この場を納めるためには、美作に本好を引き取って貰うしかないと思い
「美作くん…」
小声で視線を向けると
「俺はダッフルコートは紺が定番なんだけど、赤も悪くねぇなぁ」
(ええっ?!また、女の子のコートの話っ?!)
「白い生足は、赤に映えるよなぁー」
(ちょっ?!美作くん、この空気の悪さに気づかないの??!)
アシタバが慌てふためいていると
「“モテ”は重要だけど、ラブコメはなぁー。藤とアシタバは、何を観るつもりだったんだ?」
という美作の発言に、本好がアシタバの腕を放した。
「俺はアシタバの観たいヤツを観る予定」
「おっ!いいな、ソレ。相手に合わせるっていうのも、“モテ”の選択肢として、アリだよな」
何故か、会話が“モテ”になっていて、本好は美作が満足そうなのを見て、ニコニコしている。
「アシタバは何が観たいんだ?」
美作に尋ねられても即答出来ず
「えっと…、じゃあ…」
シネコンの入口にずらりと掲げられたポスターに目を走らせ
「アレかな」
3Dが売りの、新作を指さした。

っていうか、藤くん、何でボクの肩をずっと抱いてるの?


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Photo by RainDrop
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